評価が分かれる作品-「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」感想
2015年4月10日公開の、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を見てきました。
昔「バードマン」というヒーロー映画で脚光を浴び、有名となった俳優リーガンは、今や落ちぶれ俳優となっていた。家庭や娘のことでも失敗をし鬱々とした日々を過ごしていた。そんなリーガンは、自らが脚本と演出、主演を兼ねる演劇で再起しようとする。しかし、娘とのいざこざ、他のキャストとの衝突、「バードマン」のささやき・・・。現実と幻想が入り交ざる中、リーガンは成功をしてまた羽撃くことが出来るのか。あるいは・・・。
本作品はアカデミー賞4部門を受賞した、今年一番注目されている映画です。
それを期待して見に行ったら、良い意味でも悪い意味でも裏切られたという感覚です。
まず、映画界や映画好きの中で一番注目されているのが、映像の撮り方です。
映画は基本的に、場面をバラバラに撮ってからそれらを編集して一つの動画にします。
しかし、「バードマン」は最初から最後までほぼワンカットで撮られています。
素人の僕が説明するよりこちらを参照した方がいいかもしれません。
実際に映画を見てみれば、恐らく普通の映画とは撮り方が違うな、とわかるはずです。
この作品は、この撮り方についてすごく評価されている記事が多く見受けられます。
他にも良い所はたくさんあるのですが。
主人公のリーガンは、元は映画畑の人。その人が違う畑の演劇をするとなると、映画畑で培ってきたノウハウ等は通用しないことが多いはずです。
そういった、「内部事情」的なものを痛烈にコミカルに批判をしているのがこの作品なのです。
なので、業界人から見たらクスリと笑えるシーンであったり、共感を覚えるシーンがあったりするのですが、僕のような(多分みなさんも)一般人には、セリフ回しが面白くても「???」となるようなシーンも多くあります。
こういう作風だからこそのアカデミー賞なのだと思います。
きっと、業界人にはすごく受けがいいのでしょうね。
評価がすごく分かれると思います。
また、アメコミ、ヒーロー映画ばかり作り業績を上げているハリウッドにも挑戦的な映画だと感じましたね。
作中でも語られるのですが、今までやってきたようなことをするだけでは、その存在自体も消えていくし、すぐ忘れ去られてしまう。
過去にスターでも今では誰も見向きもしない。
でも、見ている人もたくさんいる。
そういった中で、自分自身と戦ったり、守るためのプライドだったり、革新的なことをしたり、何かに挑戦したりして、自分を認めてもらい、自分の存在を示したい。
そのための「バードマン」なんだと思います。
あ、音楽もとても良くて冒頭から一気にぐいっと引き寄せられます。
本年度のアカデミー賞受賞作なので、一度見る価値はある作品です。