きのこボックス-あるホテルマンの戯言-

ホテルの仕事、日々のこと、映画、記憶の整理、色々詰め込みます

未来への勇気を持つお話-ソロモンの偽証感想-

2015年4月11日公開の「ソロモンの偽証 後編・裁判」を見てきました。

 

大雪が降ったあるクリスマスの朝、一人の男子中学生が学校の屋上から転落死していた。警察は自殺と断定したが、学校に告発文書が届く。そこには、「犯人を目撃した。これは自殺ではなく殺人だ。」という内容が書かれており、学校側はこれを隠蔽してしまう。警察の父を持つ、藤野涼子は不審に思い、全てを明かすため、学校内で裁判をすることにーーー。

 

複雑に絡み合うストーリー、それぞれの思惑、キャラクター一人一人が際立っている、よい作品でした。

前編も一ヶ月ほど前に見たのですが、僕は前編の方が好きです。

演出も凝ってますし、下手なホラー映画より怖かったです。

 

前編は、事件を主に扱っており、後編はその事件を解決するための裁判がメインになっています。

どうして、転落死していたのか、誰が殺したのか、はたまた自殺なのか。

全てが後編で明かされます。

 

明かされるのですが、どうにも腑に落ちないところがあり、クリスマスに死んだ男子中学生、柏木くんの人間性です。

その裁判に柏木くんと小学校の時から仲が良かった、神原くんがいるのですが、この子がキーとなっていきます。

まあ、パッと出て前編の時から少し怪しかったんですけど。

この神原くんと柏木くんのやり取りで、柏木くんがひどい言葉を言い放つシーンがあります。

ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、この柏木くんの人間性に少し疑問が残り、同情というか感情移入が出来なく、最後は「う~~ん」という感じになってしまいました。

原作ではもっと、柏木くんの家庭環境とか掘り下げられてるのかな?

原作を読めということでしょうか。

 

キャストは全員現役の中学生で、等身大のキャラクターでしたのでそこは安心して見れました。

以前に見た戦争映画で、かなり昔の時代なのになぜか今風のツーブロックヘアの俳優がいたりしたので、そういうの見るとなんだか冷めてしまいますよね。

 

この作品の最後に出てきたセリフで「未来への勇気を持てた」というものがありました。

キャラクター一人一人に抱えた闇や問題があります。

裁判の中で、この闇や問題を提示したり、自分自身に認めさせたりして、解決とまではいかないけど、裁判を通しそれらに立ち向かってみんな前に進めたのだと思います。

事件を解決するだけではなく、自分自身を見つめなおして自分自身の罪も清算する意味合いもあったのではないかと感じました。

なので、この作品は未来への勇気を持って成長をするお話なんだと思います。

 

宮部みゆきの作品が好きな方、ミステリーが好きな方にぜひ見てほしい作品です。